角帯の形状分類

1 袋織
表経糸(おもてたていと)・裏経糸を上下二重に張り揃え、そこに緯糸(よこいと)を連続的に通していくことで帯の上下に縫い目がなく袋状に織り上がる。上下を自由に選べる。
博多織などは廉価品でもこの織り方。一部高級品で2の倍幅織がある。

2 倍幅織
2倍の幅(19~21cm程)で織り、縦半分に折った帯。
(折り山:輪の方が下になる。下腹をホールドする意味、張力を支えられるように。)
両端の一部(手の部分40cm程)のみ縫い/端から端まで縫い等。
手かがり縫い/かがりミシン縫い/叩きミシン縫い等。
平織等の場合は袋織よりも簡易に織れ、袋織の仕掛けが出来ない織屋や廉価品に用いられることもあり。
必ずしも端から端まで縫い留める必要はなし。
安易な織屋は平気でミシンで叩く。(博多では見られないものの米沢ではあり注意)
※一方で、織味・締め味を求めた凝った織り方、多重織などの場合、袋織に出来なかったり、袋織にすると仕掛けが高度になり極度に価格が上がるなどから倍幅織で織る場合もあり、こうした方向の品は、味が良く高級品となる。(博多でも、米沢でも)
高級品を謳った高額品でも、必ずしも織、味が良い帯とは限らず、程度の低い帯もあり、安易にパターン化して分類捉えするのではなく吟味が必要。

3 仕立て帯・くけ帯  本来は角帯とは言えず
4m×20cm程の布(この場合縫い目は一方:上)、あるいは4m×10cm程の布2枚(この場合縫い目は上下双方)を裏返し芯を入れたりして縫い表裏逆にし整え等。(太くて長いハチマキの作り方的)
誂え帯などと売られているが、本来の角帯としての締め心地は得られない。
男帯と女帯とでは意味合いが異なり。男帯は実質帯、女帯(お太鼓帯)は飾り帯。
(女帯でも半幅帯は男帯的な面。またお太鼓帯でも芯なしかがり前提の八寸帯は男帯に近い織のものあり。)

織、布に求められる「機能性要件」という意味で言うと、角帯が一番要求が高度で、他の品・織・布を角帯に代用することは困難。
角帯専用に織られたものでないと角帯とはならない。
実際は、角帯用に織られた絹の帯・織でさえ、本当の意味で良い角帯と認知されるような帯・織は難しく、非常に高度な競争・創造・蓄積がなされてきた分野となる。
(長着や羽織は、まだ布としての代用が効きやすい。洋服地を長着、羽織になど。
袴も代用は難しく、今現在袴に用いられているものでも本来は袴地としては相応しくないものも多々。
ただ、ものによっては袴に適するような布もあり、角帯よりは代替が得られる面あり。)

以上の明記無ききもの販売は文化を損ねるもので、本来の角帯の意味、用途、高度な用いられ方、結ばれ方、締められ方、その際の高度な心地、官能感を台無しにするもの、日本人の和装感覚を鈍感にさせるものとなる。
売り方と共に、選び方、買い方の問題ともなり。
相乗か、相殺:レベル低下の悪循環か。

この他、柄の付け方、デザイン面の問題もあり。
これはまた別の機会に。

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